40204「名板貸人の責任は名板借人と連帯して責任を負うこと/名板貸し」行政書士試験の商法会社法

 商法会社法チェック
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このブログは、行政書士試験の過去問題から商法会社法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。

「名板貸人の責任は名板借人と連帯して責任を負うこと」

【ひっかけは?】

(正)商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。本件取引の相手方の誤認についてCに過失がなかった場合、契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、Aは【Bと連帯して】本件取引によって生じた債務について【 】責任を負う】。

《ひっかけはここ!》

(誤)”商人Aが、商人Bに対してAの商号をもって営業を行うことを許諾したところ、Aの商号を使用したBと取引をした相手方Cは、当該取引(以下、「本件取引」という。)を自己とAとの取引であると誤認した。本件取引の相手方の誤認についてCに過失がなかった場合、契約はAの商号を使用したBとCの間で成立するが、Aは( )本件取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負う。”(過去問より引用)

【解説】

・名板貸し(自己の商号の使用を他人に許諾した商人)の責任の問題です。

・商人A(名板貸人・ないたがしにん)が、自己(商人A)の商号を使用して営業または事業を行うことを商人B(名板借人・ないたがりにん)に許諾することを名板貸し(ないたがし)といいます。

・相手方Cが自己(相手方C)と商人A(名板貸人)との取引であると誤認したことついて相手方Cに過失がなかった場合、商人A(名板貸人)は取引によって生じた債務について半分の割合で責任を負うのではなく、商人A(名板貸人)は商人B(名板借人)と連帯して取引によって生じた債務について責任を負うのです。

・連帯債務とは、複数の債務者が、各自債権者に対して同一内容の可分の給付債務を負い、そのうちの1人が給付すればすべての債務者が債務を免れるという関係にあるもの、をいいます。AとBがそれぞれ半分の割合で責任を負うものではありません。

【条文と関係図】

(自己の商号の使用を他人に許諾した商人の責任)
商法14条 自己の商号を使用して営業又は事業を行うことを他人(※名板借人)に許諾した商人(※名板貸人)は、当該商人(※名板貸人)が当該営業を行うものと誤認して当該他人(※名板借人)と取引をした者に対し、当該他人(※名板借人)と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

《関係図》

商人A(許諾した商人・名板貸人)
 ↑
名板貸し
 ↓
商人B(他人・名板借人)
 ↑
BC間に契約成立
 ↓
相手方C

〈BC間の債務について〉
相手方Cの「商人Aとの取引であると誤認」について、
①〈悪意なし=善意〉or〈重過失なしor軽過失なし(※過失なし)〉
 =商人Aと商人Bは連帯して責任を負う
②〈悪意なし=善意〉or〈重過失なしor軽過失あり〉
 =商人Aと商人Bは連帯して責任を負う
③〈悪意あり〉or〈重大な過失あり〉
 =商人Aは(連帯)責任を負わない
※ここでいう「悪意」とは、「商人Bとの取引であると」知っていたということです。「善意」とは、「商人Bとの取引であると」知らなかったということです。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献・引用:基礎から学ぶ商法/小柿徳武他(有斐閣)・ 法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)・ポケット六法(有斐閣)・過去問題

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※この「基礎から学ぶ商法」は、会社法・総則・商行為について、簡潔に記述されています。行政書士試験受験者には、資格試験向けのテキストを読まれている方が多いと思いますが、併せてこの「基礎から学ぶ商法」をお読みいただくと法律の勉強をしているのだと実感できるものと思います。私もこのブログを書くにあたり、おおいにこのテキストを活用しています。

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