行政書士試験の商法会社法チェック「持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)」

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行政書士試験の過去問題から商法会社法チェック「持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)」の重要問題をピックアップしています。重要ポイントとしてチェックしてください。
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過去問題を見る限りでは、あまり理屈を深く掘り下げた問題はないようです。判例や条文を中心にそのポイントをまずは覚えてください。

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行政書士試験の商法会社法チェック「持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)」

1.(問題文×)合名会社、合資会社および合同会社は、定款に資本金の額を記載し、これを登記する。

 

【正しくは】合名会社、合資会社および合同会社は、定款に資本金の額を記載することを要しないが、合同会社はこれを登記する。

 

※合名会社、合資会社、合同会社をあわせて「持分会社」といいます。 合同会社は、平成18年の会社法から始まった新しい会社形態のひとつです。

 

(定款の作成)

会社法575条1項 合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

(定款の記載又は記録事項)

会社法576条1項 持分会社の定款(※合名会社、合資会社、合同会社)には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

一号 目的

二号 商号

三号 本店の所在地

四号 社員の氏名又は名称及び住所

五号 社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別(※会社法576条2項、3項、4項)

六号 社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準

会社法576条2項 設立しようとする持分会社が合名会社である場合には、前項(※会社法576条1項)五号に掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

会社法576条3項 設立しようとする持分会社が合資会社である場合には、(※会社法576条)第1項五号に掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

会社法576条4項 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、(※会社法576条)第1項五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。

(合名会社の設立の登記)

会社法912条 合名会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。

一号 目的

二号 商号

三号 本店及び支店の所在場所

四号 合名会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め

五号 社員の氏名又は名称及び住所

六号 合名会社を代表する社員の氏名又は名称(合名会社を代表しない社員がある場合に限る。)

七号 合名会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所

八号 第939条(※会社の公告方法)1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め

九号 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

 イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

 ロ 第939条第(※会社の公告方法)3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

十号 八号の定款の定めがないときは、第939条(※会社の公告方法)第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

(合資会社の設立の登記)

会社法913条 合資会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。

一号 目的

二号 商号

三号 本店及び支店の所在場所

四号 合資会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め

五号 社員の氏名又は名称及び住所

六号 社員が有限責任社員又は無限責任社員のいずれであるかの別

七号 有限責任社員の出資の目的及びその価額並びに既に履行した出資の価額

八号 合資会社を代表する社員の氏名又は名称(合資会社を代表しない社員がある場合に限る。)

九号 合資会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所

十号 第939条(※会社の公告方法)第1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め

十一号 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

 イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

 ロ 第939条(※会社の公告方法)3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

十二号 第十号の定款の定めがないときは、第939条(※会社の公告方法)第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

(合同会社の設立の登記)

会社法914条 合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。

一号 目的

二号 商号

三号 本店及び支店の所在場所

四号 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め

五号 資本金の額(※合同会社のみ登記事項)

六号 合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称

七号 合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所

八号 合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所

九号 第939条(※会社の公告方法)1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め

十号 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

 イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの

 ロ 第939条(※会社の公告方法)第3項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

十一号 第九号の定款の定めがないときは、第939条(※会社の公告方法)第4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

2.(問題文○)合名会社、合資会社および合同会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。

※社員は連帯して持分会社の債務を弁済する責任を負うが、無限責任社員は無制限に責任を負い、有限責任社員はその出資の価額を限度として責任を負う、ことになります。

※有限責任社員が存在するのは合資会社と合同会社です。

※合資会社の有限責任社員は、全額の出資を履行していることを要件としていませんので有限責任社員に未履行の出資の価額が残っている場合があります。その未履行の出資の限度で会社の債務を弁済する責任を負います。

※合同会社の有限責任社員は、株式会社と同様に、社員となる前に出資全額の履行をしなければならないとされています。そのため、合同会社では、未履行の出資の価額はありませんので、弁済責任を負うことはないということになります。

※すでに持分会社に対し履行した出資の価額を除く、というのは、この意味です。

(社員の責任)
会社法580条1項 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一号 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二号 (略)
会社法580条2項 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
(合同会社の設立時の出資の履行)
会社法578条 設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、(略)。

3.(問題文×)合名会社、合資会社および合同会社の持分は、社員たる地位を細分化したものであり、均一化された割合的単位で示される。

 

【正しくは】合名会社、合資会社および合同会社の持分は、社員たる地位を表すものであり、その持分は1個とされている。

 

※合名会社、合資会社、合同会社では社員の地位を持分と呼ぶ。法令によっては単に「社員権」と呼ばれることもある。なお、社員とは、いわゆる従業員ではなく、出資者を意味する。

※株式会社の場合、出資者である株主が有する権利を株式と呼ぶ。

※持分会社の社員の持分は1個であり、その大きさは個別的に決められている。

※株式会社の株式は均一の割合的単位であり、各株主が複数の持分を持つことができる。

4.(問題文○)合名会社および合資会社の社員は、会社に対し、すでに出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。

※合同会社は、出資の払戻しの特則があり、

●合同会社の社員は、定款を変更してその出資の価額を減少する場合を除き、出資の払戻しの請求をすることができない。

●また、剰余金額または減少した出資の価額のいずれか少ない額を超える場合には出資の払戻しをすることができないので、払戻しの請求を拒否することができる。

ことになっており、合名会社、合資会社とは取り扱いが異なっています。

(持分会社の出資の払戻し)
会社法624条1項 社員は、持分会社に対し、既に出資として払込み又は給付をした金銭等の払戻し(「出資の払戻し」という。)を請求することができる。この場合において、当該金銭等が金銭以外の財産であるときは、当該財産の価額に相当する金銭の払戻しを請求することを妨げない。

合同会社の出資の払戻しに関する特則
(出資の払戻しの制限)
会社法632条1項 第624条第1項の規定にかかわらず、合同会社の社員は、定款を変更してその出資の価額を減少する場合を除き、同項(※会社法624条1項)前段の規定による請求をすることができない。
会社法632条2項 合同会社が出資の払戻しにより社員に対して交付する金銭等の帳簿価額(「出資払戻額」という。)が、第624条第1項前段の規定による請求をした日における剰余金額(第626条第1項の資本金の額の減少をした場合にあっては、その減少をした後の剰余金額。)又は前項(※会社法632条1項)の出資の価額を減少した額のいずれか少ない額を超える場合には、当該出資の払戻しをすることができない。この場合においては、合同会社は、第624条第1項前段の規定による請求を拒むことができる。

合同会社の資本金の額の減少に関する特則
(出資の払戻し又は持分の払戻しを行う場合の資本金の額の減少)
会社法626条1項 合同会社は、第620条第1項の場合のほか、出資の払戻し又は持分の払戻しのために、その資本金の額を減少することができる。
(持分会社の資本金の額の減少)
会社法620条1項 持分会社は、損失のてん補のために、その資本金の額を減少することができる。

5.(問題文○)合名会社、合資会社および合同会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。

(業務の執行)
会社法590条1項 社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
(業務を執行する社員と持分会社との関係)
会社法593条1項 業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。

復習用-記憶の整理のため、問題文○・正しくは、のみを掲載

1.【正しくは】合名会社、合資会社および合同会社は、定款に資本金の額を記載することを要しないが、合同会社はこれを登記する。

2.(問題文○)合名会社、合資会社および合同会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。

3.【正しくは】合名会社、合資会社および合同会社の持分は、社員たる地位を表すものであり、その持分は1個とされている。

4.(問題文○)合名会社および合資会社の社員は、会社に対し、すでに出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。

5.(問題文○)合名会社、合資会社および合同会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献:基礎から学ぶ商法/小柿徳武他(有斐閣)
・ 法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)

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