10103「マクリーン事件/外国人の人権に関する判例」行政書士試験の憲法

 憲法チェック
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このブログは、行政書士試験の過去問題から憲法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。

「マクリーン事件」

【ポイント】

”政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。”(過去問から引用)

【解説】

マクリーン事件(在留期間更新不許可処分取消)(最高裁判所大法廷判決昭和53.10.4)の判決要旨です。

・外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。

政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても及ぶ。

・しかしながら、外国人の在留の許否は国の裁量にゆだねられ、わが国に在留する外国人は、憲法上わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することができる権利を保障されているものではなく、ただ、出入国管理令上法務大臣がその裁量により更新を適当と認めるに足りる相当の理由があると判断する場合に限り在留期間の更新を受けることができる地位を与えられているにすぎないものであり、したがつて、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、右のような外国人在留制度のわく内で与えられているにすぎないものと解するのが相当であって、在留の許否を決する国の裁量を拘束するまでの保障、すなわち、在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を在留期間の更新の際に消極的な事情として斟酌(しんしゃく)されないことまでの保障が与えられているものと解することはできない。

・外国人の在留期間中の憲法の保障が及ばないとはいえない政治活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないとした法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできないとされた事例

【該当条文】

憲法第三章国民の権利及び義務
特に
(思想及び良心の自由)
憲法19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
(集会・結社・表現の自由、通信の秘密)
憲法21条1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
(居住・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由)
憲法22条1項 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
 参考文献・引用:「憲法学読本」第3版安西文雄他著(有斐閣)・法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)/過去問題

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