このブログは、行政書士試験の過去問題から民法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。
「取消後の返還義務は現存利益のみ」
【ポイント】
【解説】
・行為制限能力者(未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人)がした法律行為は取り消すことができます。取り消すことができる法律行為は、それぞれの行為制限能力者によって異なります(条文を参照してください。)
・取り消された法律行為は、初めから無効となります。
【条文】
《取り消すことができる法律行為》
(未成年者の法律行為)
民法5条1項 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
(成年被後見人の法律行為)
民法9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
(保佐人の同意を要する行為等)(※被保佐人の法律行為)
民法13条1項 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
1号~10号(略)
4項 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
(補助人の同意を要する旨の審判等)(※被補助人の法律行為)
民法17条4項 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
《取消権者・取消の効果・原状回復の義務・現存利益》
(取消権者)
民法120条1項 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(-略-)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
(取消しの効果)
民法121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
(原状回復の義務)
民法121条の2・1項 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
3項 (民法121条の2)1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献:民法(全)第3版潮見佳男著(有斐閣)・法律学小辞典第5版(有斐閣)/判例六法(有斐閣)/過去問題
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※この「民法(全)」は、民法全般について、簡潔に記述されています。行政書士試験受験者には、資格試験向けのテキストを読まれている方が多いと思いますが、併せてこの「民法(全)」をお読みいただくと法律の勉強をしているのだと実感できるものと思います。私もこのブログを書くにあたり、おおいにこのテキストを活用しています。
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