30103「補助開始の請求は本人の同意が必要/制限行為能力者制度」行政書士試験の民法

 民法チェック
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このブログは、行政書士試験の過去問題から民法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。

「補助開始の請求は本人の同意が必要」

【ポイント】

本人以外の者の請求により補助開始の審判をする場合のみ「本人の同意が必要である」。本人以外の者の請求により後見開始の審判、保佐開始の審判をするには本人の同意は不要である。

【ひっかけは?】

①「保佐開始の審判」からみた場合

(正)本人以外の者の請求によって保佐開始の審判をするため【であっても】、本人の同意【は不要】である。

《ひっかけはここ!》
(誤)”本人以外の者の請求によって保佐開始の審判をするためには、本人の同意が必要である。”(過去問より引用)

②「本人の同意」からみた場合

(正)本人以外の者の請求によって【補助】開始の審判をするためには、本人の同意が必要である。

《ひっかけはここ!》
(誤)本人以外の者の請求によって保佐開始の審判をするためには、本人の同意が必要である。

【解説】

それぞれの能力の態様と本人の同意の要不要の規定を並べてみました。

本人以外の者の請求により補助開始の審判をする場合のみ「本人の同意が必要である」(民法15条2項)ということです。

・後見開始の審判の対象者:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(本人の同意が必要との規定はない)

・保佐開始の審判の対象者:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者(本人の同意が必要との規定はない)

・補助開始の審判の対象者:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者(本人の同意が必要との規定あり)

【条文】

民法7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

民法11条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、(-略-)。

民法15条1項 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、(-略-)。
2項 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】

参考文献:民法(全)第3版潮見佳男著(有斐閣)・法律学小辞典第5版(有斐閣)/判例六法(有斐閣)/過去問題

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