30205「通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)/意思表示」行政書士試験の民法

 民法チェック
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このブログは、行政書士試験の過去問題から民法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。

「通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)」

【ひっかけは?】

(正)AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合、Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、【Cに過失があるときであっても】、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張【できない】。

《ひっかけはここ!》

(誤)”AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合、Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。”(過去問より引用)

【解説】

・「差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていた」ということは、相手方と通じてした「虚偽の意思表示」であり、この意思表示は無効です。

・これを「通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)」(民法94条)といいます。

(AB通謀して虚偽の意思表示)
A(売主)←譲渡契約→B(買主)
            ↓
            売却
            ↓
          C(第三者)

・A(売主)は善意のC(第三者)に対して無効の主張ができない
・この場合、C(第三者)の過失の有無は問わない。

・「Bが事情を知らないCに売却した」ときのCを「善意の第三者」といい、AB間の、動産を譲渡する旨の意思表示が通謀虚偽表示であるという「事情を知らなかった第三者」のことをいいます。

・この場合、第三者が通謀虚偽表示であるという事情を知ることができたかどうか(過失か無過失か)は問われません。

・Aは通謀虚偽表示で無効である、ということを善意の第三者であるCに主張(対抗)できないのです。 第三者であるCに過失(事情を知ることができた)があったとしても、善意(その事情を知らない)であれば、AはCに対して無効の主張(対抗)することができないのです。

【条文】

(虚偽表示)
民法94条1項 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2項 前項(民法94条1項)の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】

参考文献・引用:民法(全)第3版/潮見佳男著(有斐閣)・法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)・ポケット六法(有斐閣)・過去問題

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※この「民法(全)」は、民法全般について、簡潔に記述されています。行政書士試験受験者には、資格試験向けのテキストを読まれている方が多いと思いますが、併せてこの「民法(全)」をお読みいただくと法律の勉強をしているのだと実感できるものと思います。私もこのブログを書くにあたり、おおいにこのテキストを活用しています。

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