204#土地や建物の利用制限を確認する。-建築基準法による建築物の制限-

不動産売買取引アドバイザー 不動産売買取引を知る
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「土地や建物を買いたい」、「この物件は良さそうだ」、という場合、その土地や建物が、あなたが描いている目的や用途に使用できるのかどうか、ということが重要になってきます。つまり、いろいろな法律によって目的や利用できる用途に制限があります。いわゆる法令上の制限というものです。国や都道府県、市町村によって制限をしているのです。知らずに買ってしまうと後で後悔することにもなります。
今回は重要事項説明の対象となっている「建築基準法による建築物の制限」をご紹介します。
どのような項目なのかを知っていただきたいので簡単な記述にとどめています。
ご自身で調べるのも大変です。宅地建物取引業者に売買の仲介を依頼しているときは、重要事項ですので、宅建業者に確認してから購入計画を進めて下さい。

敷地と道路との関係

建物や土地を購入するときは、敷地に接する道が「建築基準法上の道路」であるか、また敷地がこの道路に2m以上接しているかどうか調べましょう。

接道規定

建築基準法では、建物の敷地は原則として「建築基準法上の道路」に2m以上接していなければなりません。これは接道規定と呼ばれるものです。

建築基準法上の道路

  1. 道路の幅員が4m以上のもの
    「建築基準法上の道路」とは、道路法による道路や建築基準法が適用された際に現に存在した道などで、幅員4m以上のものをいいます。
    ただし、幅員4m以上の道であっても「建築基準法上の道路」とみなされない場合がありますので、敷地に接する道が「建築基準法上の道路」であるかどうかについては、確認するようにしてください。
  2. 道路の幅員が4m未満のもの(法第42条2項道路)
    幅員4m未満の道であっても、建築基準法が適用された際に建物が建ち並んでいた道で、一定の基準を満たすものは、「建築基準法上の道路」とみなされます。
    この場合、原則として道の中心線からの水平距離2mの線をその道路の境界線とみなし、道路部分については建物を建てることができません。
    この道は建築基準法第42条第2項に規定があることから、一般に「2項道路」と呼ばれています。

その他の敷地と道路との関係

上記のほか、

  • 4m未満の道路にのみ接する建築物に対して条例で付加された敷地、構造、建築設備又は用途に関する制限
  • 道路内の建築制限
  • 私道の変更又は廃止の制限

などがあります。

建蔽率(建ぺい率)と容積率の制限

建ぺい率

「建ぺい率」とは、建物の建築面積の敷地面積に対する割合のことです。

建物の建築面積とは、原則として建物の外壁かこれにかわる柱の中心線で 囲まれた部分の水平投影面積をいいます。

建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100<=建ぺい率の限度

建物の建ぺい率は原則として都市計画に定められた限度以下でなければなりません。

建ぺい率の限度については、角地とみなされる敷地に建築する建物や、防火地域内における耐火建築物等、準防火地域内における耐火建築物等又は準耐火建築物等に対し、緩和の特例があります。

容積率

「容積率」とは、建物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことです。

建物の容積率は、原則として都市計画に定められた限度以下でなければなりません(この限度を「指定容積率」といいます)。

容積率(%)=延べ面積÷敷地面積×100(指定容積率)<=容積率の限度

なお、前面道路(建物の敷地が接している道路)の幅員が12m未満の場合は、「指定容積率」と、前面道路の幅員による容積率の限度と、いずれか小さいほうの値が容積率の限度となります。

前面道路の幅員による容積率の限度は、次のとおりです。

  • 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の容積率の限度(%)は、前面道路幅員[m]×4/10 ×100
  • 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域の容積率の限度(%)は、前面道路幅員[m]×4/10(or 6/10)×100
  • 上記以外の地域の容積率の限度(%)は、前面道路幅員[m] ×6/10 (or 4/10 or 8/10) ×100
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その他の建築物の制限

外壁後退距離制限

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域内においては、建築物の外壁か、これに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(「外壁の後退距離」)を、その地域に関する都市計画において、1.5m又は1mと定められた場合においては、その限度以上でなければならない、という制限があります。

建築物の敷地面積の最低限度の制限

建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その最低限度以上でなければならない、という制限があります。

建築物の高さの制限

道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)によって、建築物の高さの制限があります。

防火地域・準防火地域

防火地域・準防火地域は、建物の密集度が高い地域や幹線道路沿いなどで火災被害を広げないための厳しい建築制限がある地域です。

防火地域の場合、3階以上か延べ面積が100㎡超の場合には、耐火建築物としなければなりません。また、それら以外の場合でも、防火地域に建物を建てる場合には、耐火または準耐火建築物にしなければなりません。

防火地域より、やや制限の緩やかな準防火地域もあります。

準防火地域であれば、地階を除く4階以上か延べ面積が1,500㎡超の場合には、耐火建築物としなければなりません。地階を除く3階以下で、延べ面積500㎡以下であれば、一定の技術基準に適合する木造建築物を建てることも可能です。

 なお、建物が防火地域と準防火地域の両方にまたがっている場合には、建物すべてについて防火地域の規制が適用されます。

仲介を依頼しているときは、宅地建物取引業者に確認を!

宅地建物取引業者に売買の仲介を依頼しているときは、以上の確認については、契約までの間に宅地建物取引士が重要事項説明として説明しなければならない事項とされています。

ご自身で調べるのも大変です。契約するかどうか検討中であっても、重要事項ですので、宅建業者に確認するようにして下さい。

法令上の制限の内容について、よくわからないというときは、その物件が所在する市区町村役場の担当課か専門家(建築士・仲介を依頼している宅地建物取引業者、宅地建物取引士など)に相談して下さい。


【白神英雄/行政書士・宅地建物取引士・不動産売買取引アドバイザー】

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【白神英雄/ココチ不動産㈱所属エージェント】HP https://cocochi.org/pg3342218.html
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