「/行政機関」行政書士試験の行政法リライト中

 行政法チェック
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このブログは、行政書士試験の過去問題から行政法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。

20301「行政庁とは」

【ひっかけは?】

(正)”行政庁とは、行政主体の意思を決定し、これを外部に表示する権限を有する行政機関をいう。”(過去問より引用)

《ひっかけはなし!》

【解説】

①行政機関とは、行政組織(行政主体の内部組織)を構成する基礎単位です。
行政主体とは法人であり、実際の行為は行政機関が行います。
行政機関には権限が割り当てられ、その権限の範囲内で行政機関が行う行為の法的効果は行政主体に帰属します。

②行政機関には、行政庁、補助機関、諮問機関、執行機関があります。
行政庁とは、行政主体のために意思を決定し、それを外部に表示する権限をもつ行政機関です。
行政庁の典型は、各省大臣、都道府県知事、市町村長などです。
たとえば、
行政機関である法務大臣が行った行為の法的効果は行政主体である国
行政機関である都道府県知事が行った行為の法的効果は行政主体であるその都道府県
行政機関である市町村長が行った行為の法的効果は行政主体であるその市町村
にそれぞれ帰属します。
・補助機関とは、行政庁の意思決定の補助をする仕事を行う行政機関です。
各省庁や都道府県庁、市町村役場などで働く職員の多くはこの補助機関です。
・諮問機関とは、審議会や調査会など、行政庁の諮問によって意見を述べる機関です。
なお、諮問機関の意見は行政庁を拘束しません。行政庁を法的に拘束する場合は参与機関といわれています。
・執行機関とは、実力行使を行う機関です。警察官、収税官、自衛官などです。

20302独任制と合議制

【ひっかけは?】

(正)国家行政組織法には行政庁は【独任制または合議制である】との規定があり、わが国には【独任制の行政庁と合議制の行政庁が存在する】。

《ひっかけはここ!》

(誤)”国家行政組織法には行政庁は独任制でなければならないとの規定があり、わが国には合議制の行政庁は存在しない。”(過去問より引用)

【解説】

※国家行政組織法には行政庁は独任制でなければならないとの規定はない。
※行政庁は、その意思決定の方法による分類として、
●「1人で意思決定を行う独任制」と、
●「複数人で構成され、その複数人が話し合って意思決定を行う合議制」
に分けられる。
●各省の長、庁の長は独任制の行政庁であり、委員会は合議制の行政庁である。

国家行政組織法3条2項 行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
国家行政組織法3条3項 省は、内閣の統轄の下に・・(略)・・置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。
国家行政組織法5条1項 各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する。
国家行政組織法6条 委員会の長は、委員長とし、庁の長は、長官とする。

20303訓令権

【ひっかけは?】

(正)上級行政庁は下級行政庁に対して監視権や取消権などの指揮監督権を有するが、訓令権について【も認められている】。

《ひっかけはここ!》

(誤)”上級行政庁は下級行政庁に対して監視権や取消権などの指揮監督権を有するが、訓令権については認められていない。”(過去問より引用)

【解説】

※指揮監督権としては、監視権、許認可権、取消・停止権、訓令権、権限争議決定権などがある。

20304権限の委任

【ひっかけは?】

(正)行政庁がその権限の一部を他の行政機関に委任した場合【は】、権限の所在自体は、委任した行政庁から受任機関に【移ることになる】。

《ひっかけはここ!」

(誤)”行政庁がその権限の一部を他の行政機関に委任した場合であっても、権限の所在自体は、委任した行政庁から受任機関には移らない。”(過去問より引用)

【解説】

※権限の委任は、委任機関が権限を失い、その権限は受任機関に移動する。受任機関が自己の名と責任において権限を行使することになる。

20305法定代理と授権代理

【ひっかけは?】

(正)法定の事実の発生に基づいて、法律上当然に行政機関の間に代理関係の生ずる場合を、【法定代理】という。

《ひっかけはここ!》

(誤)”法定の事実の発生に基づいて、法律上当然に行政機関の間に代理関係の生ずる場合を、授権代理という。”(過去問より引用)

【解説】

※本来の権限を有する行政機関からの授権に基づいて代理関係が発生し代理行為を行うことを授権代理という。
※法定代理と授権代理をあわせて権限の代理という。権限の代理は、権限を移動せずに別の行政機関がもとの行政機関の名で権限を代理するものである。権限の委任と区別される。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献・引用:「行政法」第5版/櫻井敬子他著(弘文堂)・法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)・ポケット六法(有斐閣)・過去問題

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※この「行政法」は、いわゆる行政法総論全般について、簡潔に記述されています。行政書士試験受験者には、資格試験向けのテキストを読まれている方が多いと思いますが、併せてこの「行政法」をお読みいただくと法律の勉強をしているのだと実感できるものと思います。私もこのブログを書くにあたり、おおいにこのテキストを活用しています。

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