このブログは、行政書士試験の過去問題から民法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。
「後見開始の審判を受けた者が成年被後見人となる」
【ひっかけは?】
《ひかっけはここ!》
(誤)”AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合、Aが、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合、Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基ずく譲渡契約を取り消すことができる。”(過去問より引用)
【解説】
・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であっても、家庭裁判所による後見開始の審判を受けていない者は成年被後見人ではない。つまり、当然に成年被後見人となるのではない。
・したがって、後見開始の審判を受けていない者は、制限行為能力者(成年被後見人)であることを理由として法律行為を取り消すことができない。
【条文】
(後見開始の審判)
民法7条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
(成年被後見人及び成年後見人)
民法8条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
(成年被後見人の法律行為)
民法9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献・引用:民法(全)第3版/潮見佳男著(有斐閣)・法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)・ポケット六法(有斐閣)・過去問題
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※この「民法(全)」は、民法全般について、簡潔に記述されています。行政書士試験受験者には、資格試験向けのテキストを読まれている方が多いと思いますが、併せてこの「民法(全)」をお読みいただくと法律の勉強をしているのだと実感できるものと思います。私もこのブログを書くにあたり、おおいにこのテキストを活用しています。
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