行政書士試験の民法チェック「制限行為能力者制度」その2・6~10

 民法チェック
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行政書士試験の過去問題から民法「制限行為能力者制度」の重要問題をピックアップしています。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 過去問題を見る限りでは、あまり理屈を深く掘り下げた問題はないようです。判例や条文を中心にそのポイントをまずは覚えてください。

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行政書士試験の民法チェック「制限行為能力者制度」その2・6~10

6.(問題文×)制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、相手方は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

【正しくは】制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、【制限行為無能力者】は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

※相手方は、制限行為無能力者を原状に復させる義務を負うことになり、制限行為無能力者は、「現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる」のである。

民法120条1項 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(-略-)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
民法121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
民法121条の2・1項 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
民法121条の2・3項 (※民法121条の2)1項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。

7.(問題文×)制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、未成年者本人に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することでき、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

【正しくは】制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、【未成年者の法定代理人】に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することでき、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

※未成年者本人に対して追認するかどうかを催告するには、未成年者が成年者となった後でないとできない。未成年者である間に追認するどうかを催告するには未成年者の法定代理人にしなければならない。

民法20条1項 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
民法20条2項 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項(※民法20条1項)に規定する催告をした場合において、これらの者が同項(※民法20条1項)の期間内に確答を発しないときも、同項(※民法20条1項)後段と同様とする。

8.(問題文×)制限行為能力者が成年被後見人であり、相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合であっても、成年被後見人は制限行為能力を理由として自己の行為を取り消すことができる

【正しくは】制限行為能力者が成年被後見人であり、相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合【は】、成年被後見人は制限行為能力を理由として自己の行為を取り消すことが【できない】。

※「相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合」(小売店が成年被後見人に日用品を販売した場合)は、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」であるから取り消すことはできない。

第9条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

9.(問題文〇)制限行為能力者が被保佐人であり、保佐人の同意を得なければならない行為を被保佐人が保佐人の同意またはそれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにした場合において、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。

民法13条1項 被保佐人が次に掲げる行為(※民法13条1項1号~10号-略-)をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、民法9条ただし書に規定する行為(※日用品の購入その他日常生活に関する行為)については、この限りでない。
民法13条3項 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
民法13条4項 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
民法21条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

10.(問題文×)制限行為能力者が被補助人であり、補助人の同意を得なければならない行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制限行為能力を理由として被補助人の行為を取り消すことができる

【正しくは】制限行為能力者が被補助人であり、補助人の同意を得なければならない行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制限行為能力を理由として被補助人の行為を取り消すことが【できない】。

※相手方から制限行為能力を理由として被補助人の行為を取り消すことができる、という規定は存在しない。

民法17条1項 家庭裁判所は、民法15条1項本文に規定する者(※本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官)又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、民法13条1項に規定する行為(※保佐人の同意を要する行為10項目)の一部に限る。
民法17条4項 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる(※家庭裁判所の)許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
民法120条1項 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(-略-)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。

復習用-記憶の整理のため、問題文○・正しくは、のみを掲載

6.【正しくは】制限行為能力者が自己の行為を取り消したときには、相手方は受け取っていた物を返還しなければならないが、制限行為無能力者は、制限行為能力を理由とする取消しであることを理由に、現に利益を受けている限度で返還をすれば足りる。

7.【正しくは】制限行為能力者が未成年者の場合、相手方は、未成年者の法定代理人に対して、1か月以上の期間を定めてその行為を追認するかどうかを催告することでき、その期間内に確答がなければその行為を追認したものとみなされる。

8.【正しくは】制限行為能力者が成年被後見人であり、相手方が成年被後見人に日用品を売却した場合は、成年被後見人は制限行為能力を理由として自己の行為を取り消すことができない。

9.(問題文〇)制限行為能力者が被保佐人であり、保佐人の同意を得なければならない行為を被保佐人が保佐人の同意またはそれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにした場合において、被保佐人が相手方に対して行為能力者であると信じさせるために詐術を用いたときには、制限行為能力を理由としてこの行為を取り消すことはできない。

10.【正しくは】制限行為能力者が被補助人であり、補助人の同意を得なければならない行為を被補助人が補助人の同意を得てした場合であっても、相手方は、制限行為能力を理由として被補助人の行為を取り消すことができない。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献:民法(全)第3版潮見佳男著(有斐閣)・判例六法(有斐閣)

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