行政書士試験の商法会社法チェック「商行為」その1

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行政書士試験の過去問題から商法会社法「商行為」の重要問題をピックアップしています。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 過去問題を見る限りでは、あまり理屈を深く掘り下げた問題はないようです。判例や条文を中心にそのポイントをまずは覚えてください。

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行政書士試験の商法会社法チェック「商行為」その1

1.(問題文×)商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受け、申込みとともに受け取った物品がある場合において、その申込みを拒絶するときは、相当の期間内にその物品を相手方の費用により返還しなければならない

【正しくは】商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受け、申込みとともに受け取った物品がある場合において、その申込みを拒絶するときは、【申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない】。

※契約の申込みを受けた者の物品保管義務についての問題。
●「平常取引をする者から」という表現は、営業的商行為として、「営業としてなされるとき、つまり、営利の目的をもって、反復・継続して行われることによって商行為のなる」という意味かと思われます。
●「申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない」のであり、「相当の期間内にその物品を相手方の費用により返還しなければならない。」ということではない。

 

商法510条 商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合において、その申込みとともに受け取った物品があるときは、その申込みを拒絶したときであっても、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。ただし、その物品の価額がその費用を償うのに足りないとき、又は商人がその保管によって損害を受けるときは、この限りでない。

2.(問題文○)数人がその一人または全員のために商行為である行為によって債務を負担した場合は、その債務は各自が連帯してこれを負担する。

※多数当事者間の債務の連帯についての問題。
●ほぼ条文そのままです。

商法511条1項 数人の者がその一人又は全員のために商行為となる行為によって債務を負担したときは、その債務は、各自が連帯して負担する。

3.(問題文○)商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合は、報酬に関する契約がなくとも、相当の報酬を請求することができる。

※報酬請求権についての問題。
●契約を締結していることが要件になってはいない。
●金額の合意がなく契約が成立しているとはいえない場合でも(※報酬に関する契約がなくとも)、商人は相当な報酬を請求することができる、と考えられています。


商法512条 商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

4.(問題文×)当事者の一方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、債権の弁済を受けるまで、債権者が占有する債務者所有の物または有価証券を留置することができる。

【正しくは】当事者の【双方】のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、債権の弁済を受けるまで、債権者が占有する債務者所有の物または有価証券を留置することができる。

※商人間の留置権についての問題。
●債権者が留置権を行使できるのは、「双方のために商行為となる行為によって生じた債権」であって、「一方のために商行為となる行為によって生じた債権」ではない。

商法521条 商人間においてその双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、その債権の弁済を受けるまで、その債務者との間における商行為によって自己(※債権者)の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券を留置することができる。ただし、当事者の別段の意思表示があるときは、この限りでない。

5.(問題文○)商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めることができる。

※契約による質物の処分の禁止の適用除外についての問題。
●質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めることができない(民法349条)が、 商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については民法349条を適用しない(商法515条)ので、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めることができる。

商法515条 民法349条の規定は、商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、適用しない。
民法349条(契約による質物の処分の禁止) 質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。

復習用-記憶の整理のため、問題文○・正しくは、のみを掲載

1.【正しくは】商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受け、申込みとともに受け取った物品がある場合において、その申込みを拒絶するときは、申込者の費用をもってその物品を保管しなければならない。

2.(問題文○)数人がその一人または全員のために商行為である行為によって債務を負担した場合は、その債務は各自が連帯してこれを負担する。

3.(問題文○)商人がその営業の範囲内において他人のために行為をした場合は、報酬に関する契約がなくとも、相当の報酬を請求することができる。

4.【正しくは】当事者の双方のために商行為となる行為によって生じた債権が弁済期にあるときは、債権者は、債権の弁済を受けるまで、債権者が占有する債務者所有の物または有価証券を留置することができる。

5.(問題文○)商行為によって生じた債権を担保するために設定した質権については、質権者に弁済として質物の所有権を取得させることを契約で定めることができる。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献:商法総論・会社法総則/畠田公明著(中央経済社)・判例六法(有斐閣)

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