行政書士試験の行政法チェック「行政行為の効力-公定力」

 行政法チェック
この記事は約6分で読めます。

行政書士試験の過去問題から行政法チェック「行政行為の効力-公定力」の重要問題をピックアップしています。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 過去問題を見る限りでは、あまり理屈を深く掘り下げた問題はないようです。判例や条文を中心にそのポイントをまずは覚えてください。

【行政書士試験に受かろう】を随時更新しています。 ご希望の方へ、更新情報をお送りします。gyosho@shiragami.jp へメールアドレス(件名なし)を送って下さい。随時、更新情報などをお送りします。

※Facebookのグループ「行政書士試験に受かろう」を2022(令和4年)4月27日に開設しました。行政書士試験について興味、関心がある方や行政書士試験の受験生の皆様の参加をお待ちしています。URL:https://www.facebook.com/groups/2226745574149743

行政書士試験の行政法チェック「行政行為の効力-公定力」

(問題文)行政行為の効力の一つである(  )は、行政行為の効力を訴訟で争うのは取消訴訟のみとする取消訴訟の(  )を根拠とするというのが今日の通説である。この効力が認められるのは、行政行為が取消し得べき(  )を有している場合に限られ、無効である場合には、いかなる訴訟でもその無効を前提として自己の権利を主張できるほか、行政事件訴訟法も(  )を用意して、それを前提とした規定を置いている。内容を入力してください。
【正しくは】行政行為の効力の一つである【公定力】は、行政行為の効力を訴訟で争うのは取消訴訟のみとする取消訴訟の【排他的管轄】を根拠とするというのが今日の通説である。この効力が認められるのは、行政行為が取消し得べき【瑕疵】を有している場合に限られ、無効である場合には、いかなる訴訟でもその無効を前提として自己の権利を主張できるほか、行政事件訴訟法も【争点訴訟】を用意して、それを前提とした規定を置いている。

※行政行為は、たとえ違法であっても、その違法が重大かつ明白で当然無効であると認められる場合を除いては権限ある国家機関(行政庁・裁判所)に取り消されない限り完全にその効力を有する、とする判例があります(最高裁判所判決昭和30.12.26)。これを行政行為に「公定力」があるといいます。

・行政行為に瑕疵があり、違法であるとして争う場合、行政事件訴訟法は、原則として、取消訴訟によって争うべきとしています。これを取消訴訟の「排他的管轄」といいます。

●行政行為の瑕疵の種類と公定力との関係を整理すると、


①取消事由である瑕疵(問題文の「取消し得べき瑕疵を有している場合」)は、次の②の重大かつ明白な瑕疵にあたらない瑕疵で、取消訴訟の排他的管轄が及びます。この場合に、公定力がある、ということになります。


②無効事由である瑕疵(問題文の「無効である場合」)は、重大かつ明白な瑕疵は当然に無効です。公定力はありません。

●その結果、行政行為は、重大かつ明白な瑕疵があり当然に無効である場合(無効事由である瑕疵)を除いた、つまり、取消事由である瑕疵がある場合には、


①権限ある行政庁が職権で取り消すか、


②行政行為によって自己の権利利益を害された者が、取消訴訟を提起して裁判所が取り消すか、


③行政上の不服申立てによって権限ある行政庁が取り消さない限り、

 

有効なものとして取り扱われることになります。このことを行政行為に公定力があるといいます。

・また、行政行為が無効となるような重大かつ明白な瑕疵がある場合、つまり、行政行為が無効と判断されるような場合には、いかなる訴訟でも行政行為の無効を前提として自己の権利を主張できることになります。このように、無効確認の利益がある場合には、無効確認訴訟を提起することもできます。

・行政事件訴訟法も、無効確認訴訟、争点訴訟を用意して、行政行為の無効を前提とした規定を置いているのです。

・争点訴訟とは、行政行為の有効・無効が先決問題となっている事件で、係争する法律関係が私法上の法律関係であるものです。たとえば、土地収用裁決が無効であるとして、地権者と起業者の間で土地所有権の帰属をめぐって争われる訴訟です。

(抗告訴訟)
行政事件訴訟法3条1項 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2項 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3項 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4項 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。 5項~7項(略)
(処分の効力等を争点とする訴訟)
行政事件訴訟法45条1項 私法上の法律関係に関する訴訟において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、23条(※行政庁の訴訟参加)1項及び2項並びに39条(※出訴の通知:処分又は裁決をした行政庁にその旨を通知する)の規定を準用する。 2項~4項(略)
(行政庁の訴訟参加)
行政事件訴訟法23条 裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。
2項 裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び当該行政庁の意見をきかなければならない。
3項(略)
(出訴の通知)
行政事件訴訟法39条 当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものが提起されたときは、裁判所は、当該処分又は裁決をした行政庁にその旨を通知するものとする。

復習用-記憶の整理のため、正しくは、のみを掲載

【正しくは】行政行為の効力の一つである公定力は、行政行為の効力を訴訟で争うのは取消訴訟のみとする取消訴訟の排他的管轄を根拠とするというのが今日の通説である。この効力が認められるのは、行政行為が取消し得べき瑕疵を有している場合に限られ、無効である場合には、いかなる訴訟でもその無効を前提として自己の権利を主張できるほか、行政事件訴訟法も争点訴訟を用意して、それを前提とした規定を置いている。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
参考文献:弘文堂「行政法」第5版/櫻井敬子他(弘文堂)
法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)

【行政書士試験に受かろう】を随時更新しています。 ご希望の方へ、更新情報をお送りします。gyosho@shiragami.jp へメールアドレス(件名なし)を送って下さい。随時、更新情報などをお送りします。

※誤りなどがありましたら、お手数ですが、ご一報ください。

タイトルとURLをコピーしました