30202「被保佐人がした保佐人の同意を得ていない行為/意思表示」行政書士試験の民法

 民法チェック
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このブログは、行政書士試験の過去問題から民法の重要事項をピックアップし、問題文の出題意図を、いかに見つけ出すのかをメインに解説しています。つまり、いかに「ひっかけ」の部分を見つけ出すか、ということです。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。 条文や判例を中心にそのポイントをおさえてください。

「被保佐人がした保佐人の同意を得ていない行為」

【ひっかけは?】

(正)AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合、Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は【】譲渡契約を取り消すことができる【場合もある】。

《ひかっけはここ!》

(誤)”AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合、Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる。”(過去問より引用)

【解説】

・保佐人の同意を必要とする場合は三つある。
①保佐人の同意を得なければならない行為(民法13条1項1号~10号)
②日用品の購入その他日常生活に関する行為(民法13条1項ただし書き)
③保佐人の同意を得なければならない旨の審判を受けた行為(民法13条2項)

・この事例では、動産を譲渡する旨の意思表示(動産の譲渡契約)となっている。
民法13条1項3号による「その他重要な財産」に関する権利の得喪を目的とする行為、たとえば、自動車などの高額な動産の譲渡契約も保佐人の同意の必要となるとされています。

・ここでいう「動産を譲渡する旨の意思表示」が、高額な動産の譲渡契約であれば、保佐人の同意が必要であり、保佐人の同意を得ていない場合は、被保佐人本人、保佐人は、譲渡契約を取り消すことができます。

・高額でない動産の譲渡契約であれば、保佐人の同意は不要であり、保佐人の同意を得ていない場合であっても、被保佐人本人、保佐人は、譲渡契約を取り消すことができません。

保佐人の同意を得ていないからといっても「常に」譲渡契約を取り消すことができる、ということではない。同意が必要な行為を保佐人の同意なしで行った行為は取り消すことができる。

【条文】

(保佐人の同意を要する行為等)
民法13条1項
 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為(※日用品の購入その他日常生活に関する行為)については、この限りでない。
1号 元本を領収し、又は利用すること。
2号 借財又は保証をすること。
3号 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
4号 訴訟行為をすること。
5号 贈与、和解又は仲裁合意(-略-)をすること。
6号 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
7号 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
8号 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
9号 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
10号 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条1項の審判(補助人の同意を要する旨の審判)を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2項 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者(※本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官)又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
4項 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意(-略-)を得ないでしたものは、取り消すことができる。
(取消権者)
民法120条1項
 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(-略-)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者(※この事例では保佐人)に限り、取り消すことができる。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】

参考文献・引用:民法(全)第3版/潮見佳男著(有斐閣)・法律学小辞典第5版(有斐閣)・判例六法(有斐閣)・ポケット六法(有斐閣)・過去問題

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※この「民法(全)」は、民法全般について、簡潔に記述されています。行政書士試験受験者には、資格試験向けのテキストを読まれている方が多いと思いますが、併せてこの「民法(全)」をお読みいただくと法律の勉強をしているのだと実感できるものと思います。私もこのブログを書くにあたり、おおいにこのテキストを活用しています。

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