行政書士試験の憲法チェック「議員の地位」

 憲法チェック
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行政書士試験の過去問題から憲法「議員の地位」の重要問題をピックアップしています。重要ポイントとしてチェックしてください。
スマートホンを使えば通勤や通学の時間にチェックすることができます。
過去問題を見る限りでは、あまり理屈を深く掘り下げた問題はないようです。条文を中心にそのポイントをまずは覚えてください。

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行政書士試験の憲法チェック「議員の地位」

1.(問題文〇)衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。

【議員の繰上補充】関連条文
公職選挙法112条2項
 衆議院(比例代表選出)議員の欠員が生じた場合において、当該議員に係る衆議院名簿の衆議院名簿登載者で当選人とならなかつたものがあるときは、選挙会を開き、その者の中から、その衆議院名簿における当選人となるべき順位に従い、当選人を定めなければならない。
同4項 第2項の規定は、参議院(比例代表選出)議員の欠員が生じた場合について準用する。この場合において、同項中「衆議院名簿の衆議院名簿登載者」とあるのは「参議院名簿の参議院名簿登載者」と、「その衆議院名簿」とあるのは「その参議院名簿に係る参議院名簿登載者の間」と読み替えるものとする。
同7項 第98条(※3項『』内)の規定は、前(112条)各項の場合について準用する。
同98条3項前段 衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙に係る第96条又は前条の場合において、『衆議院名簿登載者又は参議院名簿登載者で、当選人とならなかつたものにつき除名、離党その他の事由により当該衆議院名簿届出政党等又は参議院名簿届出政党等に所属する者でなくなつた旨の届出が、文書で、これらの条に規定する事由が生じた日の前日までに選挙長にされているときは、これを当選人と定めることができない』。(後段略)

2.(問題文×)両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、憲法が定めるところにより、院外における現行犯の場合でも逮捕されない

【正しくは】両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、【法律】が定めるところにより、院外における現行犯の場合は【逮捕される】。

憲法50条 両議院の議員は、法律(※国会法)の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
国会法33条 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。

3.(問題文×)両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については司法審査が及ばないが、除名処分については、一般市民法秩序と関連するため、裁判所は審査を行うことができる

【正しくは】両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については【懲罰の種類を問わず司法審査が及ばない】。

※懲罰の種類は、戒告、陳謝、登院(出席)停止、除名の4種である。
国会議員の懲罰は裁判所の審査に服さないとされている。

法58条2項 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。

4.(問題文×)地方議会の自律権は、議院の自律権とは異なり法律上認められたものにすぎないが、地方議会議員に対する出席停止の懲罰については、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるから、裁判所は、その適否を判断することができない

【正しくは】地方議会の自律権は、議院の自律権と同様【憲法上】認められたもの【である】が、地方議会議員に対する出席停止の懲罰については、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきである【ものの】、裁判所は、その適否を判断することができる。

最高裁判所大法廷判決令和2.11.25
判決の要旨:普通地方公共団体の議会は,憲法にその設置の根拠を有する議事機関として,議会の自律的な権能が尊重されるべきであり、議員に対する懲罰は,自律的な権能の一内容を構成する。しかし、出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができるというべきである。
この判決の補足意見:「地方議会については、憲法55条や51条のような規定は設けられておらず、憲法は、自律性の点において、国会と地方議会を同視していないことは明らかであ」り、「地方議会について自律性の根拠を憲法に求めるとなると、憲法92条の『地方自治の本旨』以外にない」。

憲法55条 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
憲法51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
憲法92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
憲法93条1項 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
憲法93条2項 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

5.(問題文×)地方議会の議員は、住民から直接選挙されるので、国会議員と同様に免責特権が認められ、議会で行った演説、討論または表決について議会外で責任を問われない

【正しくは】地方議会の議員は、住民から直接選挙されるが、【国会議員と同様の免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない】。

憲法51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。


最高裁判所大法廷判決昭和42.5.24

復習用-記憶の整理のため、問題文○・正しくは、のみを掲載

1.(問題文〇)衆参両議院の比例代表選出議員に欠員が出た場合、当選順位に従い繰上補充が行われるが、名簿登載者のうち、除名、離党その他の事由により名簿届出政党等に所属する者でなくなった旨の届出がなされているものは、繰上補充の対象とならない。

2.【正しくは】両議院の議員は、国会の会期中逮捕されないとの不逮捕特権が認められ、法律が定めるところにより、院外における現行犯の場合は逮捕される。

3.【正しくは】両議院には憲法上自律権が認められており、所属議員への懲罰については懲罰の種類を問わず司法審査が及ばない。

4.【正しくは】地方議会の自律権は、議院の自律権と同様憲法上認められたものであるが、地方議会議員に対する出席停止の懲罰については、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるものの、裁判所は、その適否を判断することができる。

5.【正しくは】地方議会の議員は、住民から直接選挙されるが、国会議員と同様の免責特権を憲法上保障しているものと解すべき根拠はない。


【白神英雄/行政書士・行政書士試験アドバイザー】
 参考文献:有斐閣「憲法学読本」第3版・判例六法(有斐閣)

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